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会いたいな和希に。せめて声が聞きたい。

目の前のケータイを握りしめる。
でも…俺からは絶対かけない。
メールさえうつヒマのない恋人は電話なんてもってのほかだろうから。
でも声が聞きたい。イヤ、ダメだ。

一人で自己問答をくり返す。
とりあえずメールだけ打っておこうかな。と思ってケータイを広げる。
途端に鳴り出す着信音。
その音楽と液晶に写った名前で今まさに心に描いていた愛しい人からの電話だとわかる。

「和希?」
1コールで俺が出た事にちょっと驚いたみたいだ。

「啓太。今大丈夫か?ごめんな。今日も寮に戻れそうもないや。本当ごめん。」

和希の口調にちょっぴり疲れがにじんでいる気がして思わず心配してしまう。

「ふっ。心配性だな。啓太は。俺なら平気。それより啓太こそ心配だよ。ちゃんとご飯食べてるか?」

またコイツは俺を子供扱いするんだから。でも…この声がとても聞きたかった。

「和希。電話してくれてありがとう。俺今すっごく和希の声が聞きたかったんだ。
でも俺から電話するのも邪魔だろうし…とかイロイロ考えてた。
そしたら和希がかけてきてくれた。なんかすごい今幸せなんだ俺。」

と告げる。

すると少し息をのむ気配がして

「啓太。俺もお前の声が聞きたくてしょうがなかった。もう5日も会ってないもんな。
俺もそろそろ啓太切れだよ。会いたいな。お前に。今すぐ飛んでって抱きしめたい。」

そんな事を耳元で言わないで欲しい。俺だって会いたくて会いたくて泣きそうになる。

「啓太。俺明日は何があっても必ず寮へ帰る。遅くなるかも知れないけど絶対帰る。
だから部屋のカギ開けといてくれ。」

「うん。わかった。カギ開けて待ってるから絶対に来いよ。俺ずっと待ってるから。」

「ごめんな。啓太。俺の都合でさみしい思いさせて。」

そんなことを言って…
どちらかといえば実は和希の方がさみしがり屋だろ。
心の中でつぶやきながら電話を持ち直す。

「でも、大丈夫だよ。俺、和希が来てくれるのを待ってる時間も結構好きなんだ。
だから平気。でも明日だけはなるべく早くに来てよ。」

またちょっと涙が出そうになったけど ぐっとこらえる。
和希はそういう俺の変化に敏感だ。また心配かけてしまう。

その時、電話の向こうで和希を呼ぶ声がした。

「あぁ石塚だ。ごめんな。もう行かなくちゃ。啓太。明日までイイコで待ってろよ。」

わざとちゃかした声で電話が切れる。
ツーッツーッという電子音と共に自分だけが取り残された気分になる。

でも、前向きに考えよう。
明日は和希に会えるんだし、それまでに自分の事を全部すませておかなくちゃ。
課題と…あっ、あと学食で和希の好きなハンバーグを取ってきてやろうっと。

こうやって和希の事を想いながら和希が来るまでの時間をすごすのは悪くない。
明日は会える。それだけで俺の心の中はあったかくなる。

早く明日になれっ。





 FIN

海里さんへの捧げ物。和啓って難しい。
シンマが和希に愛をあまり持っていないから?
啓太を遠くから見守っている保護者的な和希が好きです。