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「啓太・・・頼みがあるんだが・・・」

唐突に岩井さんが言った。

「何ですか?岩井さん。」

岩井さんの頼みは嬉しい。
あまり自分の意見や考えを通す事が無い人だから。
結局何をするにも俺を優先してくれてしまう。
だから俺は岩井さんの願いなら何でも叶えてあげたいと思う。

「絵を・・描かせてくれないか?」

へっ?絵?別にいつも描いてるのに・・・

「いいですよ。そんな事なら。」

「そうか・・・すまない・・」

すまないだなんて。俺別に全然苦じゃないのに。

「でも・・その・・・」

言いよどむ岩井さんを見てあ・・と思う。
そっか・・ヌードなんだ。
別に他の人に見せるわけではないから構わないはずなんだけど、
ちょっと困る事もある。
でも・・他ならぬ岩井さんの頼みだ。

「いいんですよ。岩井さん。
俺・・岩井さんに何かしてあげられる事あまり無いから・・・
これくらいの事させてください。」

「ありがとう・・啓太。」

穏やかな岩井さんの微笑み。
最近俺の前ではこんな風に微笑んでくれる様になった。
それが凄く嬉しくて心があったかくなる。
少しでも岩井さんが幸せになってくれればいいと思う。






「啓太・・少し手を上げてくれないか?」

岩井さんの部屋でベッドに腰掛けた俺はぎこちなく右手を上げる。

「これ・・くらいですか?」

「ああ・・構わない・・・」

そう言いながら岩井さんはスケッチブックに目を伏せる。
真剣なその瞳にドキッと心臓の音が跳ね上がる。

俺・・岩井さんにならどんな事でもしてあげたいと思うけど・・・
このヌードはちょっと困る。

岩井さんが絵を描く時の顔は凄く真剣で真っ直ぐだ。
いつも俺を見るときの少し怯えてでも優しい岩井さんの顔とは全く違う。
どっちの顔も大好きだけどこの真剣な瞳に俺は弱い。
しかもそれを俺に向けられるとそれだけで体温が上がってしまう。

どうしよう・・・ちょっとマズイかも・・・
こういう時全裸なのは都合が悪い。
だって・・隠しようがないじゃないか・・・

岩井さんは真剣でセクシャルなムードなどこれっぽっちも無いのに
俺だけがこんな風になってしまうのは恥ずかしすぎる。
どうしよう・・・俺がこんな風になってしまう事は初めてじゃない。
岩井さんは多分それも分かっているとは思うけど・・・

岩井さんがスケッチブックに目を伏せている間にそっと足を組んだ。
ばれてないかな?・・・そっと岩井さんの伏せた顔を盗み見る。

うわぁ・・岩井さん睫毛長いんだ。
つい見惚れてしまってじっと見すぎたらしい。
視線に気付いた岩井さんがふっと顔を上げる。
バッチリ目が合ってしまって逸らす事が出来なくなってしまった。

「啓太・・・・」

俺の目を真っ直ぐに見詰めたまま岩井さんが少し掠れた声で俺を呼ぶ。

「い・・わいさん。」

絵筆を置いた岩井さんが立ち上がりゆっくりと俺に近づく。

「啓太。・・・頼みがあるんだが・・・」

このセリフ。さっきも聞いた・・・
そう頭の片隅で思いながら俺も少し掠れた声で返事をする。

「何ですか?岩井さんの頼みなら俺、何でも聞きますよ。」

そっと伸ばされた岩井さんの手が俺の頬に掛かる。

「我儘を・・・言っても・・いいだろうか?」

「何ですか?・・・岩井さん。」

岩井さんの次の行動を予想して俺はそっと目を閉じる。

「啓太・・君を・・抱いても・・いいだろうか?」

ゆっくりと重なってくる口唇を感じながら俺は言葉を紡ぐ。

「それは我儘とは言わないんですよ。
・・だって・・俺もそれを望んでるんですから・・」

この温もりを離したくない。
俺のほうが余程我儘だ。
それでもこうしている事でこの人が少しでも幸せを感じてくれていると嬉しい。

もっともっと・・我儘になってくれればいいのに・・

恋人の我儘はとても嬉しい物なのだから・・・




FIN


岩井さん。はぴば!
初岩×啓です。
啓太の方が悶々しちゃってます。
懐深い岩井さんが大好きです。