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Xmasイヴの日、俺は七条さんと街に出掛けた。
今日は七条さんがちょっとしゃれたところで食事をしましょう。
と言っていたので2人共スーツを着ている。
七条さんがスーツを着ると凄く素敵でそれこそ外国の王子様みたいだといつも思う。
やっぱり見た目が外人っぽいのと背の高さとスタイルの良さだろう。
男の俺から見ても羨ましいと思う。

俺の方はといえば、今日着ているスーツは七条さんがXmasプレゼントに買ってくれた新品だ。
凄く肌触りの良い生地できっと凄く高いんだろうな。
と思ったけど俺にピッタリのサイズに作られたそれを
返す訳にはいかなくて結局貰ってしまった。
七条さんは凄く素敵です。と言ってくれたけどどこからどう見ても七五三だ。

俺のプレゼントは今七条さんの首に巻かれている。
本当は食事をするときに渡そうかと思っていたんだけれど
外に出るのならば丁度いいかな。と思って昼出掛ける前に渡した。
スーツの上にグレーのコート。そこにさり気なくするマフラー。
なんだか格好いい。
別に特別な巻き方をしてる訳じゃあないのにな。

「ふふっ伊藤君。そんなに見つめないで下さい。
こんな街中で理性が振り切れたらどうするつもりですか?」

七条さんが言わんとしている事が分かって顔が朱くなる。

「もう、七条さん。そういう事言わないで下さい。」

ちょっと拗ねて見せるけれど七条さんはいつもの様にふふっと笑うだけだ。


その時俺の視界に彼女の姿が映った。
そう、2週間前に手紙を託された彼女だ。
偶然を装っているけれど明らかに俺達を・・と言うより七条さんを探していたようだ。
俺はそっと七条さんに目で合図を送る。
七条さんは心得た様に彼女へと1歩を踏み出す。




あれから俺と七条さんは手紙の処遇について話し合った。
結局は七条さんがかなり譲歩をしてくれた。

「では今度街へ出るとき、
おそらくその方はどこかに見えるでしょうから
僕からキチンとお断りしましょう。」

「え?いいんですか?」

驚く俺に

「だって仕方がないじゃあありませんか。
伊藤君はすでにそれを受け取ってきてしまっているのですから。
多分その方は放っておいたらずっと僕たちの後を着いてくるのでしょう。
そうなったら僕はおちおち君にキスもできないじゃあありませんか。」

「し・・・七条さん。」

顔が真っ赤になる。
そうだったつけてたって言われてたんだ・・・

「ですからこれは僕の為です。
その代わり手紙は受け取りませんので君がその日まで保管しておいていただけますか?」

そういわれてそれが一番良い解決策だと思って頷いた。






緊張で声も出せずにいる彼女に近づくと七条さんは軽く会釈をする。

「こんにちは。貴方が伊藤君に手紙を託された方ですね?
初めまして七条臣と申します。」

多分聞きなれない人からしたら七条さんの話し方って物凄く丁寧に聞こえるんだろうな。
俺は慣れちゃってるけど・・・
でも一度くらい七条さんのタメ口って聞いてみたいかも・・・
俺はそんな馬鹿げたことを考える。

「伊藤君から貴方のお気持ちはお聞きしました。
しかし申し訳ありませんが、僕には心から大切にしている人がいます。
ですので手紙を受け取ることは出来ません。伊藤君。」

名前を呼ばれて慌ててポケットから手紙を出す。そしてそれを彼女に差し出した。

「すみません。やっぱり受け取って貰えませんでした。」

そう言うと彼女は伏せていた顔を上げた。

「いいんです。私が勝手に憧れてただけなんですから・・・
こっちこそすみませんでした。」

そして彼女は七条さんに向き直る。

「すみませんでした。最初から無理だと分かっていたんです。
きっと貴方には大切な人がいるんだろうと思っていましたから。」

「おやっ?そうなんですか?何故でしょう。」

この答えには七条さんも少し驚いたみたいだった。

「だって時々・・とても幸せそうに笑われてましたから・・・」

「そうですか・・ありがとうございます。
そんな事を言われたのは初めてです。
貴方にも素敵な笑顔を向けて下さる方が現れることを願っています。
それでは行きましょうか。伊藤君。」

七条さんはそれこそ幸せそうに微笑んで振り向いた。

「は・・はい。それじゃあメリークリスマス。」

俺が言うと彼女は

「あっ伊藤さん。」

と俺を呼ぶ。
すると彼女は俺の耳に口を寄せて小声で言う。

「あの時伊藤さんが選んでたプレゼントとっても良く似合ってますね。
もう付回したりしませんから幸せになって下さい。
メリークリスマス。」

言われた意味が分からずにポカンとしてしまう。

すると少し後ろに立っていた七条さんが

「伊藤君。行きますよ。」

と急かしてきた。

もう一度彼女を振り返る。
すると彼女は手を振ってパッと踵を返し雑踏の中へと消えていった。
なんなんだろう。

「伊藤君。今、彼女に何を言われたんですか?」

少し拗ねた口調。
こういう所が七条さんって可愛いよな。
普段はすっごく大人なのにこういう時は子供みたい。
そう思いながら七条さんを見返して・・・ふと気付いた。

「あぁっ!って事はえぇっ?」

軽いパニックを起こす。ええっ?

「伊藤君。慌ててないで僕にも教えて貰えませんか?」

ええっ?って事はあの時七条さんのプレゼントを選んでるのを見られてたんだ。
目を白黒させている俺に七条さんはにっこり微笑む。

「ああ。そのことですか?
そうですね。恋する女性の目線は鋭いですね。
どうやら僕の想い人が伊藤君だという事に気付いているようでしたね。」

がっくりと肩が落ちる。もう何かどうでもよくなってきた。

「七条さんは解ってたんですか?彼女が気付いてたって事。」

「はい。だって彼女は先程僕に幸せそうに笑っていたと言ってくれたではありませんか。
僕がそんな風に笑いかけるのは君にしかありませんから。」

そうだった。冷静に考えたらそう言っていた。
彼女は街で俺と七条さんが一緒の所しか見ていない筈だから、
七条さんが笑いかけるのは俺しかいないのであって・・・


だからさっき七条さんはあんなに幸せそうに微笑んだんだ。
嬉しいな。心の底からそう思った。
七条さんが俺と一緒にいる時にそんな幸せな気持ちになれるのなら
俺は何だってしてあげたいと思う。

「ねえ。伊藤君。僕は修学旅行の時に言いましたよね。
王女の結婚が幸せであれば良いと。」

「はい。俺もそう思いました。幸せになって欲しいなって。」

七条さんの右手がふと俺の頬をなぞる。

「僕はそれまで人の心を思いやる気持ちと言う物を持ち合わせていませんでした。
他人がどうなろうと別に僕に関係さえなければ何も感じませんでした。
あの時伊藤君に言われて初めて他人の幸せを願いました。
そして今日彼女にも幸せになって貰いたいと思っています。
こんな人間らしい感情を僕にくれた君を心から愛しています。」

「ありがとうございます。俺も七条さんの事大好きです。
ずっと俺と一緒にいてくださいね。
俺も彼女に素敵な人が現れることを祈ってます。
・・でも七条さんは絶対あげませんから。」

嬉しくってちょっと涙が出そうになったのを誤魔化そうと思って冗談めかして言ってみる。
すると七条さんは少し苦笑しながら

「まったく君は・・・本当に僕を煽るのが上手ですね。いつだって君には敵いません。
僕はキリスト教徒ではありませんが今日ばかりは神様に感謝したい気分です。
神は僕に君と言う天使を与えて下さいました。」

「もう・・・恥ずかしいです。俺はそんな大それたものじゃあありませんよ。
七条さんは少し俺を買い被りすぎで・・・あっ?」

目の前にチラリと白い物が落ちてくる。

「ふふっ。初雪ですね。初雪がXmas Eveだなんてやっぱり君は僕の天使です。
さあ風邪をひくといけませんから行きましょう。
そろそろ予約の時間です。」

次第に増えてくる空から舞う白い雪。イルミネーションに映えてとても綺麗だ。
空を見上げながら七条さんに手を引かれて歩く。
いつもだったら恥ずかしくて絶対断るけど今日はいいや。と思う。
雪とイルミネーションに魅入られて誰も俺達を見たりしない。


「伊藤君。」

静かに名前を呼ばれ、目線を七条さんに戻す。

「雪に嫉妬してしまいました。もう見ないで下さい。」

ほんの少しでも俺の視線が自分から離れるのは嫌なんだと
大人びた顔をした恋人の子供っぽいわがまま。

七条さんがとても愛おしい。

再び手を繋いで歩きながら紫の瞳を少しイタズラっぽく輝かせた恋人がそっと呟く。

「今夜は部屋を取ってあります。朝まで寝かせませんからそのつもりでね。」

俺は火照る頬を片手で押さえながらこくんと頷いた。


-A HAPPY MERRY CRISTMAS -
SILENT NIGHT









 FIN

ようやく終わりました。
お前の中のXmasは一体いつだ?って感じですが・・・
とりあえず甘いお話を増やすことが出来て満足です。