いったい何が書きたかったのでしょうか?
まあ臣さんも人間なのでミスもします。
多分篠宮さんは注意するのも面倒になったのでしょう。
ハロウィンと言えば皆さん考えることは同じだと思いますが
このあたりで勘弁して下さい。
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「伊藤君。トリックオアトリート。」
ノックされた部屋のドアを開けるなり七条さんがそう言った。
だけど俺はそれより違うことに気をとられていて思わずじっと見返してしまった。
「おや?ノーリアクションですか?それではイタズラがよろしかったでしょうか?」
アメジストの瞳にイタズラっぽい色が混ざる。
その瞬間ようやく俺は我に返った。
「あの・・・それよりその格好で此処まできたんですか?」
「おや?お気に召しませんでしたか?結構いけると思ったんですが・・・」
途端にしゅんとなる七条さん。何だか可愛い。
「違います。とにかく入ってください。誰にも会わなかったですか?」
「ふふっ来る途中に寮長の篠宮さんとお会いしましたよ。
ひょっとして長いお説教が始まるかと思いましたが、案外すんなり開放して貰えましたよ。」
ええ?篠宮さん?よくお咎めなしで・・・
目の前の七条さんがどんな格好をしているかといえば・・・
黒いマントにタキシード。作り物の牙までついていて・・そう。まさしくドラキュラ。
しかも黒に髪のシルバーが映えて、もううっとりするくらいカッコいい。
こういう時目の前の恋人に異国の血が流れていることを実感する。
「ところで、伊藤君?トリックオアトリート。」
きたな?と心の中でちょっぴり笑う。
絶対今日はこういう展開になると思ってたんだ。ドラキュラのコスプレは予想外だったけど。
「はい。どうぞ。」
あらかじめ用意してあったクッキーをさしだす。
絶対今日はイタズラされないように学園にまでクッキーやチョコを持っていったくらいだ。
別に七条さんにイタズラされるのが嫌ってわけじゃあないんだけどさ。
俺だってたまには気が回るって所をみせるんだ。
「おや?残念。用意してあったんですね?」
「はい、俺だってこれ位の事はしってるんですよ。」
得意げにそう言うと七条さんはちっとも残念そうじゃない顔で、俺の差し出したクッキーを食べる。
「改めてトリックオアトリート。」
もう一度同じクッキーを差し出す。すると七条さんは
「同じものではなく違う物を下さい。」
と言う。それじゃあ今度は、とチョコレートを取り出した。
すると七条さんは無言でそれを受け取り口に入れる。
「もう一度。トリックオアトリート。」
え?まだ?よーし、次はキャンディだ。
それを5回程繰り返しただろうか?段々心配になってきた。
いくら七条さんが甘いものが大好きだと言ってもさっき一緒に夕飯食べたばっかりだしな。
「あの・・七条さん。大丈夫ですか?」
そろそろお菓子の種類も尽きてきた。
マシュマロを渡しながら聞いてみる。
「ふふっ伊藤君は僕の為に随分とお菓子を用意してくれたのですね?うれしいです。
でも僕が一番欲しいお菓子がまだ出てきませんから。トリックオアトリートです。」
え?食べたいお菓子?なんだろう。
えっとクッキー・チョコ・キャンディ・バウムクーヘン・パウンドケーキにマドレーヌ・
ゼリービーンズ・ラムネ・で今がマシュマロ。
う~ん・・何だろう。どちらにしてももうお菓子のネタがつきた。
これってやっぱり俺がイタズラされちゃうってオチ?
頬が赤くなるのがわかる。何期待してんだよ、俺。
「もうお菓子は出てきませんか?じゃあ僕が一番欲しいお菓子を頂いてもいいでしょうか?」
イイもなにも・・もう何も無いんですけど・・・
困ってしまって思わず七条さんの顔を見上げる。
こんな格好いいドラキュラなら俺、血を吸われてもいいかも・・・って何だよ俺ってば!
「僕が一番欲しいのはどんなお菓子よりも甘くておいしい君の唇です。」
かーっと顔が熱くなる。もう・・もう・なんて事を言うんだこの人は。
ゆっくりと整った顔が近づいてくる。もう後数センチの所で急に七条さんが動きを止める。
「おっと、忘れていました。可愛い君を傷つけてしまう所でした。」
言いながら口に付けていたキバをはずす。確かに当たったら痛そうだ。
もう一度ゆっくりと顔が近づく。俺もそっと目を閉じた。
「ふ・・・ん・・・」
長い長い口付けに頭の中が真っ白になる。
どうしてこの人とのキスはこんなに気持ちがいいのだろう。
ぼんやりとアメジストの瞳を目で追ってしまう。
「ご馳走様でした。伊藤君。どんなお菓子よりもおいしかったですよ。」
額にちゅっと音をたててキスをされてまたうっとりとしてしまう。
「七条さん・・・」
ぼんやりと呼びかけると
「何ですか?伊藤君。」
と優しい返事が返ってくる。それだけで心が満たされる。
「七条さん・・七条さんのドラキュラ・・・すごくカッコいいです・・。
俺七条さんになら血吸われてもいいです・・・」
夢うつつに話す俺の身体を抱き寄せて耳元で囁かれる。
「うれしいです。伊藤君。では頂いてしまって構いませんか?」
段々意識がはっきりしてくる。
「はい。俺は全部七条さんの物ですから、好きにして下さい。」
とっても恥ずかしいけれどやっぱりちゃんと伝えたい。大好きな気持ちを・・・
「大好きですよ、伊藤君。では、いただきます。・・・・・・・っぷ」
え?今のってひょっとしてゲップ?
そう思って顔を見上げると片眉を下げて困った顔をした七条さんが
「Excuse me」
とつぶやいた。
やっぱり!あのお菓子相当無理して食べてたんだ。
そう思ったら何だか七条さんがとても可愛く思えてつい笑い出してしまった。
「すみません。ムードぶち壊しでしたね。」
何だか可愛い。本当に困っている七条さんはめったに見ることは出来ないから。
「でも俺、カッコいい七条さんも今みたいな七条さんも全部大好きですよ。」
「本当に君は・・・僕も愛してますよ。君の全てをね。」
もう一度やり直しをさせてくださいね。
そう言いながら覆いかぶさってきた恋人の身体はいつもより少し熱いような気がした。
FIN
いったい何が書きたかったのでしょうか?
まあ臣さんも人間なのでミスもします。
多分篠宮さんは注意するのも面倒になったのでしょう。
ハロウィンと言えば皆さん考えることは同じだと思いますが
このあたりで勘弁して下さい。