さて。もうすぐ伊藤くんが来る時間ですね。
お湯を沸かしましょうか。
取り寄せたお気に入りのクッキーがありますし、
一緒にお茶の時間を楽しみたいですからね。
ああ、でも思い出すと腹が立ちます。
せっかく今日は馨がいなくて会計部が休みだというのに。
学生会の方の手伝いに伊藤くんを借り出されてしまって。
よりによってあの人のいる学生会に…。
伊藤くんの人が善いのは美点ではありますけど、こういう時は恨めしく思いますよ。
僕がヤキモチ妬きなのを、伊藤くんにはもっと知ってもらわないと。
あぁお湯が沸きましたね。
今日の紅茶はどれにしましょうか?
ダージリン。アッサム。アップルティー。苺の香りのでも良いですね。

ふむ。あぁこれにしましょう。
甘い香りの。だけど、少し苦みかかって。
今の僕の心境に似ている。
彼に逢えるという甘い気持ちと待つという苦い気持ち。
温めたポットに、伊藤くんの分、僕の分、そして二人の愛情の分の茶葉を入れて 。
お湯を注いで、二人の気持ちが冷めないようティーコージーを被せて。
ゆっくり十分に二人の愛が深まるが如くに蒸らす。
コンコン 扉を叩く音。
あぁ、愛しい彼ですね。
叩き方だけで分かってしまう。

「七条さん」
可愛い声が聞こえます。
「どうぞ、伊藤くん」
声を掛けるとぴょこんといった感じで部屋に入ってくる。
「グッドタイミングですよ。ちょうど良い具合に紅茶が入ったところです。
椅子に座って、お茶にしましょう」
「うわぁ、七条さんのいれた紅茶大好きです」
なんとも可愛らしい事を言う。
温めておいたティーカップ。
茶漉しを使い、丁寧に邪魔なモノが入らないように注ぐ。
色合いは申し分ありませんね。
「良い匂い」
伊藤くんがうっとりした声で呟く。
甘い芳香が辺りに漂って。。
「キャラメルの香りですよ」
独特の甘く苦みのある香り。
そう。さっきまでの僕の心の中の。
「俺、この香り好きです」
「それは良かった」
にっこり笑いかけると、彼も笑い返してくれる。
もう二人だけ。苦さはもう必要ない。
まろやかに甘い時を過ごせるように、少量のミルクと砂糖を入れて。
「さあ、どうぞ」
「いただきます」
コクンと一口飲んで。
「七条さんのいれる紅茶って、なんでこんなに美味しいんですか?」
「知りたいですか?」
「はいっ」
「それは、内緒です」
「えーっ」
少し膨れっ面になる伊藤くんも可愛いですね。

教えちゃっても良いんですけど、ね。
言葉にするには、ちょと恥ずかしいかも知れませんね。


君の事を想っていれているんですよ。
ただ、それだけです。






FIN



甘〜〜〜い。
すっごく素敵なスイート七啓をれんちゃんが送ってくれました。
仕事で参っているシンマを励ます為にわざわざ書いてくれました。
もう・・・涙がちょちょ切れるじゃあないか・・・
うっかり電車の中で泣きそうでした。
愛してるよ〜れんちゃん。
今度は是非エロで←結局そうなるのか・・・